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MCCトレーニング
MCトレーニング専用カフを脚部または腕部につけ、一定圧で加圧。
スクワット等の運動を行うことにより、1~2分で筋肉は無酸素状態となり、 効果的に速筋に負荷をかけることができます。
短時間(2~3分)で 筋肉を限界まで追い込むことが可能です。
また代謝アップでダイエット効果も期待され、また他のリハビリにも効果を高めます。
トレーニングの例
MCトレーニングの解説
筋力トレーニングにおいては、筋肉内のすべての筋線維が同時に活動するわけではありません。
状況に応じて活動する筋線維の数や種類は異なります。
弱い負荷のトレーニングでは、初めに小さい神経の遅筋線維が活動し、それが疲労して活動しなくなってから、大きい神経の速筋線維が活動を始めます。
初めから速筋線維を活動させるためには、強い負荷(最大筋力の65%以上)を必要とします。これをサイズの原理といいます。
Henneman E. Relation between size of neurons and their susceptibility to discharge. Science126 : 1345–1347, 1957.
ただ、速筋線維は無酸素状態でも活動できますが、遅筋線維は酸素を必要とします。
したがって筋肉内が低酸素状態であれば、遅筋線維の活動は少なく、速筋線維の活動が多くなります。
そこで、筋肉内の血流を制限すると、初めは遅筋線維が活動しますが、血液中の酸素が供給されないので、筋肉内は短時間で低酸素(または無酸素)状態に陥ります。
その結果、酸素を必要とする遅筋線維の活動が少なくなり、代わりに酸素を必要としない速筋線維の活動が始まります。
筋肉内の低酸素状態にして行う筋力トレーニングとしては、加圧トレーニングとスロートレーニング(low-intensity resistance exercise with relatively slow movement and tonic force generation:LST)があり、それぞれその有効性が報告されています。
Takarada Y, Sato Y, and Ishii N. Effects of resistance exercise combined with vascular occlusion on muscle function in athletes. Eur J Appl Physiol 86: 308–314, 2002.CrossRefMedlineWeb of Science 29. Michiya Tanimoto, Naokata Ishii. Effects of low-intensity resistance exercise with slow movement and tonic force generation on muscular function in young men. Journal of Applied Physiology Published 1 April 2006 Vol.100 no.4,1150-1157.
我々は、腕・脚の筋肉を幅広く外部から直接圧迫ながらトレーニングを行う、新しい方法を考案しました。
筋肉を幅広く圧迫すると、筋肉内の圧力が高くなり、筋肉内の毛細血管の血流が制限されます。こうして、早期に確実に筋肉内を低酸素状態にすることが出来ます
この筋力トレーニングを実施するには、腕・脚に幅広くカフを巻いて圧迫しなければなりません。
しかし腕・脚は、太さが一定な円柱とは違って、部位により太さが異なります。したがって幅の広い1枚のカフを巻いて圧迫すると、太い部分に締め付け力が集中して、均等な強さで圧迫することはできませんでした。
そこで、幅の狭い複数のカフを、平行に連ねて巻く方法を考案しました。この複数のカフは均等の圧力になるようにチューブで連結されています(マルチカフ)。
このマルチカフによって、部位によって異なる腕・脚の太さに対応して均等な強さで圧迫することが可能となり、これを用いたトレーニングをMC(Multi Cuff/マルチカフ)トレーニングと名付けました。
加圧トレーニングやスロートレーニングではこのような速い動きをすると、血流が発生して低酸素状態が維持されません。
しかし、MCトレーニンでは、装置による圧力調整で、速い動きの運動でも低酸素状態を維持することができるので、速い動きに適した速筋も鍛えることができるようになりました。
表は、トレーニング種目を脚のスクワットとして、各トレーニングの時間を比較したものです。
加圧トレーニングは、1往復2秒以上、30回まで3セット、インターバル15秒とすると、これに要する時間は最大3分30秒です。
ただし加圧トレーニングの場合、ベルトで圧迫してから3分程度経過してから運動を始めます。したがって合計6分30秒です。
スロートレーニングは、1往復6秒、8回まで3セット、インターバル60秒とすると、これに要する時間は最大4分28秒です。
MCトレーニングは1往復2秒以下、30回まで3セット、インターバル5秒が基本であり、これに要する時間は最大3分10秒です。実際は1往復1~1.5秒なので、これよりかなり短くなります。
MCトレーニングは他の2つのトレーニングと比較して、短時間で行うことができます。
MCトレーニングでは、マルチカフで220mmHg程度まで圧迫します。この圧では筋肉だけでなく、腕・脚全体の血流を制限しますが、腕・脚全体の血流が止まることはありません。
トレーニング時間が3分10秒なので、たとえ血流が止まっていても医学的に危険はないと言えます。整形外科の手術では1時間以上も血流を止めています。
またトレーニング中は、ほとんど動いているので、血栓などが発生する心配はありません。
表は、上記のスクワットのMCトレーニング直後の血中乳酸の変化です。MCトレーニング後、血中乳酸の増加がみられます。このことは、MCトレーニングで速筋が活動したことを証明しています。