変形性膝関節症ってどんな病気?その改善策は?

変形性膝関節症の問診

変形性膝関節症で膝が痛い人はどのくらいいるのでしょうか?

レントゲンの検査で変形性膝関節症と診断される方は、国内には2,800万人以上!その中で症状がある方は800万人もいるそうです。

変形性膝関節症は膝の痛みの中でも最も一般的な疾患で、40歳を過ぎたらだれでもなる可能性があると言われています。

『おかしいな?』と思ったら早めのケアをしていきましょう。

今回は、変形性膝関節症の痛みの原因と治療について書いていきます。


変形性膝関節症でなぜ膝が痛むの?

大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)で構成されるところが『ひざ関節』です。

関節の中にある半月板や関節軟骨がクッションの役割をしているおかげで、ヒザを曲げたり・スムーズに動かすことができるのです。

何かの原因で軟骨が傷むと、動かしたときの衝撃が吸収できなくなります。

ひどくなると軟骨がすり減って骨が関節内にむき出しになることもあり、さらにむき出しになった骨自体もどんどん削れてしまう場合があります。

変形性膝関節症とは、加齢と共に膝の関節の表面を覆っている軟骨がすり減ったり、膝の骨が変形したり、関節に炎症が起こり痛みや腫れが生じる状態なのです。


変形性膝関節症の状態

枚方市松波整形
参考:枚方市松波整形外科

➀ 軟骨への過剰な負担
椅子から立ち上がったり、歩くときの膝の曲げ伸ばしは、大腿骨と脛骨からなる関節で行われます。

歩く時に膝関節にかかる負担は体重の約2~3倍、階段の昇り降り時には約5~7倍の負担がかかるといわれています。

特にこのような方は要注意です。

・加齢
・肥満
・O脚
・女性

体重が増えればそれにともなってひざへの負担の増加します。またO脚の方はさらに関節の内側に負担が集中しやすくなります。

女性の方は男性に比べて筋力が弱いために負担がかかりやすいです。


➁ 軟骨が摩耗する
骨の表面は、軟骨で覆われています。レントゲンには軟骨は写りませんが、厚さは5~6mm。

軟骨は水分を多く含んでいて、膝に荷重がかかると、水を含んだスポンジを押したときのように水分がジュワーっと出てきます。

この水分がとっても大切で、この水分が膝を動かすときの摩擦抵抗が少なくするのです。

軟骨の中で水分を保つ役割をしているのがプロテオグリカンという物質。

最近は、美容や健康サプリの成分にもこのプロテオグリカンが入っています。

このプロテオグリカンの量が減ってくると、軟骨の摩擦が大きくなります。

そして症状が進むと、軟骨は摩耗し、すり減っていきます。


➂ 軟骨の擦り減りによる滑膜の炎症
摩耗し欠けてしまった軟骨のかけらが、滑膜を刺激して炎症を起こしてしまいます。


➃ 水がたまる・腫れや痛み
関節は関節包という袋につつまれています。

この袋の中には関節液という液体が、軟骨を栄養しているのですが、関節の中でで炎症が起きると、この関節液が増加します。

炎症の結果として出てきた!これが水です。

水が溜まることで腫れや痛みを引き起こします。

>>膝の水を抜くとクセになるの?水の正体は?

主な症状

変形性膝関節症の主な症状
参考:宇都宮記念病院

初めは

・朝起きるときのひざのこわばり
・椅子からの立ち上がりや動き始めの動作時に痛み

などがあり、動き出すと痛みが減ったり、また休憩すると痛みが減ったりします。

症状が悪化すると

・正座や階段の上り下りがつらい

末期になると

・炎症が強くなりじっとしていても痛い
・ひざに水がたまる

など軟骨の摩耗が進行した状態です。

原因?どんな人がなりやすい?

特に女性に多く、40歳以上の5人に1人が変形性膝関節症と言われています。女性は男性に比べて1.5倍~2倍です。肥満、体重、外傷との関係もあります。

原因として、一次性と二次性があります。

一次性変形性膝関節症⇒原因疾患がない

なりやすい人
女性、40代以上、肥満、筋肉の衰え、過度のスポーツ、O脚、ハイヒール

二次性変形性膝関節症⇒原因疾患がある

なりやすい人
軟骨の損傷、半月板損傷、靭帯損傷、捻挫、リウマチ

軟骨に神経はないって本当?

軟骨に神経はないの?

病院で「軟骨がすり減っていますね!」と言われた方も多いと思います。

ひざの痛みの原因は軟骨なのでしょうか?

いいえ。

実は軟骨には血管や神経がないため、体重をかけても軟骨自体が痛みを発することはありません。

軟骨や半月板の破片や骨棘などが関節内をおおう滑膜を刺激して炎症が起こります。それによる侵害受容性疼痛が初期における膝の痛みなのです。

軟骨が削れたから膝が痛いのではないのです。

末期になると痛みを感じる閾値が下がるため、通常では痛みを起こさない程度の刺激で痛みが起こります。

すり減った軟骨はどうなるの?

軟骨には血管がありません。軟骨を栄養しているのは、軟骨からしみだしてくる水分です。

膝関節を動かすたびに水分から出入りしています。

・荷重をかける → 水分が軟骨にしみ出す
・荷重がとれる → 水分が軟骨にしみ込む

膝を動かさなくなると、水分が足らなくなります。もちろん荷重をかけすぎても軟骨が負担がかかり、軟骨が壊死してしまいます。

膝のためにも適度に運動をすることが大事なようですね。

変形性膝関節症になられている方は、特に太ももの内転筋と内側ハムストリングスという筋肉が弱くなっています。

この二つの筋肉は膝関節を安定させる筋肉ですので、今から鍛えていきましょう。

膝の痛みをとるには、どうしたらいいの?

治療法は大きく分けて3つ

・運動療法
・保存療法
・手術療法

治療として、まずは運動療法、軽度であれば手術を行わない保存療法、軽中度であれば高位脛骨骨切り術や片側型の人工関節置換術、重度であれば人工関節置換術が行われます。

運動療法

膝の関節の動きの回復と膝を支える筋力の回復する運動で、治療だけでなく膝の痛みの予防にもなります。

運動療法の3つの目的

・筋肉を鍛えてひざにかかる負担を減らす
・軟骨細胞を活性化させる
・体重増加を減らす

保存療法

ヒアルロン酸注射

装具療法
サポーター、足底板、機能的ひざ装具、杖を用いて膝関節にかかる負担を減らします。

薬物療法
ヒアルロン酸やステロイド剤の関節内注射、非ステロイド性消炎鎮痛薬(内服薬や坐薬、湿布や塗り薬などの外用薬)

非ステロイド性消炎鎮痛薬は痛みの強さで3つに使い分けます。

軽度・・・塗り薬、貼り薬
中度・・・内服薬
重度・・・坐薬

日頃の生活ではどんなことに気を付けたらいいのでしょう?

椅子からの立ち座りや歩き方など、日常生活の中で膝に負担をかかえている動きのクセを一つずつ見直していくと痛みを軽減することができます。まずは生活習慣を見直してみましょう。


手術療法

薬物療法(ヒアルロン酸注射、ステロイド注射)や運動療法を行っても症状が良くならない場合や、日常の生活に支障がある場合は手術を勧められることがあります。

変形性膝関節症の手術は3つ方法があります。

・人工関節手術
・高位脛骨骨切り術
・関節鏡手術

それぞれ手術の目的や方法が違います。

人工関節手術
変形した内側または外側の関節表面を人工の部品に置き換える片側型人工関節置換術(UKA手術)と膝関節全体を置き換える人工関節置換術(TKA手術)があります。

高位脛骨骨切り術(HTO手術)
脛の骨を切ってO脚の変形を矯正し、内側にかかったストレスを外側に分散させる手術です。

関節鏡下手術
内視鏡で関節の中をキレイにしていきます。傷んだ半月板や軟骨を切除することで膝の負担を取り除く手術です。


まとめ

今回は変形性膝関節症を引き起こすメカニズムと治療について書いていきました。

いかがでしたでしょうか?

変形性膝関節症の症状がひどくなる前に膝のケアを早期からしていくことで
回復の兆しがみえてくると思います。

最後まで読んでくれてありがとうございます。